![fashionpress[ファッションプレス]](/img/common/logo_0119_1928.svg){kind=logo}
ザ・リラクス(THE RERACS)の2023年秋冬ウィメンズコレクションが発表された。
今季のザ・リラクスが軸としたのが、テーラリングだ。装飾性を抑制し、確固たるフォルムをもっとも透明なかたちで描いてゆくテーラリングのアウターを中心に、とりわけ上半身のシルエットを重視したスタイルを追求した。
コレクションの基調をなすテーラリングのジャケットやコートは、身体と衣服のあいだにゆとりを持たせた、ダイナミックなシルエットがベース。ハリ感のあるウール素材を中心に用いることで、身体を包み込むような立体的なフォルムを織りなす一方、幾らか大きめに設定したセットインショルダーによって、存在感ある佇まいと柔らかな印象を醸しだした。
テーラリングのアウターはここで、スタイル全体を決めるため、その種類も多岐にわたる。ジャケットとコートを両輪に、フロントはシングルブレストとダブルブレストを、ラペルはノッチドラペルやピークドラペル、ショールカラーを、そしてショルダーはやや余裕を持たせたセットインにドロップを、というように豊富な種類を揃えた。また、素材はウールを軸に、ハリのあるウールギャバジン、ラムウールを加えることで柔らかさをもたらしたバーズアイなど、アイテムのシルエットと雰囲気に合わせて多様に用いられている。
テーラリングのジャケットやコートを着こなしは、セットアップによるミニマルさではない。むしろ、シルエットを力強く描きだすアウターに、全体の佇まいとニュアンスの豊かさを主導させるものだ。首元に大きく開いたVゾーンには、ハイネックのインナーを合わせてレイヤリングを引き立てる一方、たとえばタートルネックはすっきりとしたラインにまとめるなど、アウターとインナーのシルエットにダイナミックなコントラストをもたらした。
テーラリングにおける素材やシルエットの方向性は、コレクション全体にも通底するものだ。たとえば、素材。テーラードスタイルのインナーとして活躍するプルオーバーは、木目調が柔らかな印象を醸しだしつつも、表にウールを、裏にポリエステルを用いることで、上品な表情としっかりとしたシルエットを同時に叶えている。また、シャツなどのチェック柄素材には、ウールとポリエステルを組み合わせ、クリアな質感と強度を兼ね備えた。
一方、上半身に重心を置いた佇まいも、テーラリングだけにとどまらない。ブルゾンやラグランスリーブのスタジャンは、 コンパクトな丈感ですっきりと。ボア素材を用いてバイカラーに仕上げたベストも、同様に短めの丈感に設定。また、ドレスやブルゾンなどには、セーラーカラーを彷彿とさせるディテールを。さらにコーディネートにおいても、ボトムスにはショートパンツを多用するなど、着こなし全体の力点を引き上げることが試みられている。
