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ヴァレンティノ(VALENTINO) が、「ピンク PP コレクション」と題した2022-23年秋冬コレクションを発表した。
会場のセットを含め、コレクション全体を染め上げる鮮烈なピンク。今季クリエイティブ ディレクターのピエールパオロ・ピッチョーリは、カラーパレットを一色に徹底的に絞り込み、一見すると可能性が狭まったように思われる枠組みの中で、表現の可能性を最大限に広げる新しいアプローチを試みた。一つの色が持つ力強さは、逆説的に視覚的な衝撃を取り除き、その代わりに多様なボディ、アティチュードを一層引き立てているように感じられる。
色彩感覚が統一された今、まず目に飛び込んでくるのは、コレクションピースひとつひとつの様々なシェイプだ。オーバーシルエットに仕上げたテーラリング、くびれたウエストを持つロングコート、直線的なラインを持つジャンプスーツ。目立った装飾の見当たらないワントーンのルックは、実際のところ“引き算”としての役割ではなく、人の体躯と服の表情を増幅・拡大し、そのひとつひとつの個性を最もクリアな方法で解き放っている。
スポーティーなジップが走るフード付きアウターや、ボリューミーなサイズ感で仕上げたストリートライクな2ピースは、本来とはかけ離れたカラーに染まったのかもしれない。けれど統一されたパレットに紛れることで、その輪郭やテイストが不思議とはっきり浮かび上がり、“ちぐはぐ”感のない独立したピースとして可視化される。
ふんだんにあしらわれたボウやラッフル、ペタル、レース、エンブロイダリー。ワントーンの世界でもディテールへのこだわりは抜かりなく、むしろシンプルなカラーであるからこそ、その細やかな技法がより鮮明に浮かび上がる。
アクセントカラーとして投入されたのは、オールブラックのピース。モデルが手に持つ新作バッグは、アイコニックなスタッズまでワントーンで統一した斬新な仕上がりとなっている。また足元は“超厚底”なプラットフォームシューズでドレスアップ。上品な光沢や、シンプルで洗練されたフォルムが際立つブーツやハイヒールなどが登場した。
