トム ブラウン ニューヨーク(THOM BROWNE.NEW YORK)2014年春夏ウィメンズコレクションのテーマは、メンズに引き続き「軍隊」。軍人の制服にインスピレーションを受けたルックが多く登場する。
男性的で力強く、立体的なカッティングにも関わらず、全体のメインカラーを白で統一することで、どこか女性らしい中世的なスタイルを実現させた今回のコレクション。そのファーストルックは、メンズコレクションと錯覚してしまいそうな、マスキュリンなスタイル。メンズライクな雰囲気を、パールのボタンや繊細な装飾によって柔らかな印象に仕上げているのが特徴的だ。
多くのルックに見られる、チュールを用いて曲線的に仕上げられたシルエットが表現するのは、ハードとソフトという2つのイメージの融合。一見すると奇怪にゆがめられているようにも見えるが、女性の丸みを帯びたボディラインを強調するかのようでもある。相反するイメージを見事にシンクロさせているのがトム ブラウンらしい。
「トワルドジュイ」の柄も、今季コレクションの重要なモチーフの1つとして多くのルックに登場した。18世紀の神話や風景を題材とした、このフランスの伝統的なデザインが、白一色のコーディネートに華やかな雰囲気を添えている。
印象的なネックラインには、ブランドのこだわりが見られる。扇状の首元のカラーは、エリザベス朝の宮廷服にインスピレーションを受けたもの。また、パールのネックレスなどのアクセサリーによって、首を長く見せるテクニックもユニークだ。
男社会といわれる「軍隊」。その軍隊の制服に、レースやパールなどのフェミニンなモチーフや、女性特有の丸みを帯びたシルエットを上手く取り込んだ今季のコレクション。そこにはトム ブラウンが挑む、ただマスキュリンなだけでは終わらない、ミリタリースタイルの新境地を垣間見ることができる。