エトセンス(ETHOSENS)は、2019年春夏コレクションを発表。

本質的な美しさを讃える美意識

前シーズンに引き続き、「wabi-sabi(侘錆)」をテーマに日本人が昔から持つ精神や美意識にフォーカス。本質的に持ち合わせている“美しさ”や、満ち足りていないからこその魅力を、コレクションを通して表現する。素材に無意識的に内在する要素を生かし、あるがままの姿を尊重したデザインを、服に落とし込んだコレクションだ。

“間”にある色彩／造形

コレクションを彩るカラーパレットは、通常認識している色と色の“間”にあるような、曖昧さを持った色を日本の自然の中から抽出。人の肌や目に見える景色の中にすっと溶け込んでいくような、淡い水色、柔らかみのある緑、グレー、アーシーなブラウンなど、穏やかで静かなカラーが揃う。

ゆったりと仕上げた襟の無いトレンチコートは、自然光に馴染むような優しいブラウンを採用。分量感のある袖や見頃のドレープ感と相まって、温和な表情を見せる。

“間”は色だけでなく、シルエットにおいても表現された。見頃も袖もオーバーサイズに仕立てたダブルのジャケットは、身体から一定の空間を保ちながら、端正なラインを描く。袴のようなフォルムのワイドパンツや、羽織りのようなコート、肩をドロップさせたブラウスなど、ピースの1つ1つが絶妙なバランス感で形作られている。

ストライプの遊び

春夏シーズンらしく清涼感のあるストライプは、様々な手法で表現されている。ブルーグレーのパネルストライプの開襟シャツは、生地を作る段階で柄の配置を決定。そのため、服のどの位置にどの色、柄が収まるか全て計算された上で作られている。配色とストライプの見え方が自然発生的な陰影のようにも感じられ、必然的なバランス感が成立している。

また、細い線と太い線を組み合わせて描かれたストライプは、織りではなくプリントによるもの。あえて途中で線を曲げ、他の線に跨っていくなど、通常のストライプとは異なる遊び心を見せ、抜け感を創り出している。

こだわりの国産生地

日本国内で作られた、独自の生地にも注目。奥行きのある凹凸感が特徴の、ハチス織りで仕上げたウール生地は、ドルマンスリーブのジャケットをより立体的に見せる。さらりとした手触りで通気性も高く、軽やかながらも張りやコシのある質感となっている。滑らかな落ち感と光沢感のコットンで仕立てたブラウスは、シンプルで上品な雰囲気が魅力。斜めに服を縦断するボタンがアクセントとなっている。