ミナ ペルホネン(minä perhonen)の2022年春夏コレクションは、テーマに「風景をまとう」を掲げた。日常の中で目に映る細やかなシーンが、春夏らしいコットンやリネン、繊細なシルクにのせられ、情緒的なテキスタイルとして表現されている。

デザインと心を繋ぐ“空想の旅”

空想から生まれたデザインは、まとうことで心と繋がるという考えから、ミナ ペルホネンは、日常の様々な風景を空想と繋げるものづくりを続けてきた。今季は、そのものづくりをより深く追求したコレクションだ。日常の様々な風景からのインスピレーションは、心晴れやかにゆく“空想の旅”の始まりとなる。

希望を胸に滑空する燕たち

日常の風景から何を切り取ったのか――、例えば、春になると日本へやってくる渡り鳥の燕たち。“幸せを運ぶ鳥”とも言われる燕たちが見せる、希望を胸に滑空する姿を描いたテキスタイルは、歓迎の気持ちも込めて「ハロースワロー(hello swallow)」と銘打った。風に揺らめくリネン素材に映し出され、新しい生命を育む場所へと迷いなく向かう燕たちが、イキイキと表現されている。

“光”と交わるレモンと花のワンシーン

レモンが連なる「シトルーナ(sitruuna)」は、その爽やかさを湛えたひざ下丈のドレスルックに。レモンの表面の凹凸は、光の反射のようなモチーフとして刺繍で描くことで、フレッシュなレモンと光がとけあう表情を生み出した。

同じく軽やかな印象を受ける「ライトフラワー(light flower)」は、放射する線と大きな四角形で構築的に描かれたグラフィックが、抽象と具象の垣根を越えて、光の花を表現する。

何気ない瞬間に見つけた小さな希望

傾けた画用紙上に、たっぷりと絵具を含ませた筆で描いた円から滴が垂れる様子を表現した「ホーピー(hopee)」。“希望”の造語であるこの名前は、絵具から生まれる小さな可能性、予測できない新しい滴の誕生に小さな希望を見出したテキスタイルだ。ギャザーをたっぷりととったワンピースに乗せれば、その小さな希望のカタチはふわりと揺れ、さらに新しい希望を見出す。