ディオール(DIOR)のアイコンバッグ「レディ ディオール」から、2021年6月に“マイクロサイズ”がデビュー。メゾンの伝統と、アーティスティック ディレクターマリア・グラツィア・キウリの遊び心を融合させた新作「レディ ディオール」マイクロ バッグは、熟練の職人なくしては実現できない、緻密な制作のもと誕生している。
エレガントな格子柄“カナージュ”ステッチをあしらったボディと、スタイリッシュなスクエアフォルム、そして「DIOR」のスペルを象ったチャームをシンボルに持つ「レディ ディオール」。もともとは「カナージュ キュイール」という名で展開されていたが、ダイアナ元妃が一目ぼれしたという運命的な出会いから、ダイアナ元妃の愛称“レディ・ダイアナ”にちなんだ現代の名称「レディ ディオール」へと改名。それ以降、メゾンを代表するアイコンバッグとして、世界中の女性たちに愛され続けている。
そんな「レディ ディオール」は、これまでもシーズンごとに、タロット刺繍入り、ウルトラマットなど、実に多彩なデザインを展開してきたが、2021年6月に“手のひらサイズ”に再解釈したユニークな新作がデビュー。メゾンの輝かしい伝統を受け継ぎながら、マリア・グラツィア・キウリの遊び心をプラスしたマイクロバッグは、その愛らしい見た目でたちまち注目を集めた。
しかしサイズが小さくなったからといって、その制作過程は決して容易になるわけではない。それどころか、オリジナル以上に細かく、そして熟練した職人たちによる高度な技術を要しているのだ。本記事では、そんな新生「レディ ディオール」マイクロ バッグの知られざる制作背景にフィーチャー。アトリエを舞台に、気が遠くなるような作業から生まれる、新アイコンバッグの軌跡をたどる。
「レディ ディオール」マイクロ バッグの物語は、オリジナル同様、上質なレザーを選別することからスタート。その上に熟練した職人たちが精緻なステッチでカナージュ パターンを施していく。
本来の半分のサイズでありながら、オリジナルを忠実に再現するひとつひとつのステップは、高度な技術を持つ職人たちでさえ、いつも以上の注意深さが必要だ。もちろんバッグのサイズに合わせて、金具や取っ手をはじめとするパーツも“マイクロサイズ”へとアップデート。限られたレザーのスペースの中で、“ずれ”が起きないように丁寧な手作業を加えていく。
その後、「レディ ディオール」マイクロバッグは、専用の木型に沿って、アイコニックなスクエアフォルムへと形成される。小さな小さな木型にレザーを合わせていく作業は、まるで“ミニボックス”を手で組み立てていくかのよう。時には作業用の工具を駆使しながら、メゾンの伝統を宿すタイムレスなスクエアシルエットへと整えていくのだ。
もちろんバッグ本体の外面だけでなく、その内側も細部にまでオリジナルを忠実に再現。幅わずか12cmのバッグに対し、繊細なステッチを配したフラップポケット、メゾンの名前を刻んだラベルも丁寧にあしらっている。
そして最後の仕上げは、金色の繊細なシールによって施された「CHRISTIAN DIOR」のシグネチャーでフィニッシュ。バッグのアクセントになるラウンド型のレザーチャームの上に重ねて完成だ。