ウィザード(wizzard)の2025年春夏コレクションが、2024年9月6日(金)にオンライン形式で発表された。
既成観念を破壊して、再構築するという試みを行った今季のウィザード。現代アーティスト ジャン=フィリップ・デュボスクを着想源とし、情報先行社会へのアンチテーゼとして、裁ち切りやドッキングテクニックを用いて新たなものを生み出す挑戦を行った。とりわけ上品な印象のアイテムをベースとしつつも、裁ち切りや切込み技術により適度な抜け感ある表情に仕上げている。
例えばシャツとパンツが一体化したオールインワンは、通常カジュアルな印象のアイテムとして認知される。一方でウィザードは、腕、膝、太もも部分に切込みを入れ、シースルー素材を仕込むことで、テイストに変化を与えた。シースルー素材の周りは少し濃い色の素材が使用され、その周りは切りっぱなしの仕様が取り入れられている。腰ベルトも高めの位置に設定され、エレガントな雰囲気だ。
アイテム自体を切り裂いたかのような大胆なディテールにも着目したい。カジュアルアイテムの代表格として挙げられるスウェットパンツは、腰部分から広がる切替デザインにより、そのイメージを解体している。裾部分にワンクッションたまるような、ゆとりのある緩やかなシルエットや、白に近い明るいカラーリングにより上品な印象に仕上げた。また、切り替え部分の素材もボディと同系色で仕上げており、極めて自然に上品さへの再構築を実現している。
コレクション全体を見たときに素材やドッキングといった要素も、解体から再構築の重要なキーであることがわかる。グラデーションになっているプリーツスカートは少しハリ感のある素材を使用することで、スカートの裾ラインをより強調する仕上がりになっている。あえて外付けされたフロントのポケットは、アイテム自体のフェミニンな印象な印象を書き換えるように抜け感を与える要素として機能している。
フロントに大きなポケット、面ファスナーの図形が配されたTシャツは、さらにドッキングを際立たせる1着。レングスを短めに設定することで、大ぶりのポケットとのバランスを取っているのが印象的で、少し光沢のあるコットン素材や面ファスナーの立体感ある素材をミックスすることで、構築的に仕上げている。