コム デ ギャルソン・シャツ(COMME des GARÇONS SHIRT)の2024年春夏コレクションが、2023年6月24日(土)、フランス・パリにて発表された。
ポップ・アートの代表的な美術家として知られるアンディ・ウォーホル。今季のコム デ ギャルソン・シャツには、ウォーホルの作品とその手法が映し出されているようだ。
ウォーホルの作品の特徴のひとつは、商業的に流通するイメージ──マリリン・モンローのポートレートがその代表的な例だ──を利用し、それを反復することで、イメージの真正性、オリジナリティーを問いに付す点だ。こうした手法はそのまま、シャツの上にウォーホル作品を散りばめることに反映されており、マリリン・モンローのポートレートは肖像としての実体を失い、ひとつの柄へと転化されていることに気づく。
ウォーホル作品は世に出回っているイメージを素材とすると上でふれたが、これはいわば、既成のものを作品として提示するレディ・メイドと通ずるものである。ポップ・アートにおいては、既存のイメージを集め、作品となす。翻ってコム デ ギャルソン・シャツでは、矩形、ないし円形などのファブリックをパッチワークで仕上げたシャツやジャケットへと、その反映を見ることができる。
パッチワークが既存のものを集めてひとつの全体となすならば、逆に、ひとつのウェアを解体するというベクトルとも捉えることもできる。ショルダーとフードのみを残したフーディは、ウェアを特徴付ける要素を切り詰めた例だ。また、斜めに歪めたようなシャツや、スリーブの外側と内側で長短の差をつけたものも挙げることができる。
ポップ・アートのようにものやイメージを取り集めたコレクションは、ウォーホル作品を彷彿とさせるマルチカラーやストライプのパッチワークを多用するとともに、絵具の染みや繁吹を思わせる柄も取り入れた。