ラッドミュージシャン 2016年春夏コレクション - 砂漠のミニマリズム

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ラッドミュージシャン(LAD MUSICIAN)の2016年春夏コレクションが発表された。

インスピレーションの一つとなったのは、黒田雄一が美術館で観た「砂漠の石」。そこから派生して、ベージュのカラーパレットが生まれた。この乾いたような色彩のプルオーバーシャツやロングシャツの胸元には、ストールをイメージしたドレープが施されている。帯状のひだが幾多にも重なった姿は、広大な砂漠地帯をも想起させる。

また、アブストラクトアートに影響を受けているのも特徴。ブライス・マーデンの作品から着想を得て、スプレーで手描きしたグラフィックが展開され、ハードコアバンド「BLACK FLAG」のシンボルマークは、縦に切り替えを施すことで、オリジナルのモチーフに生まれ変わっている。また、ブライアン・ジョーンズ追悼コンサートで放たれた大量の蝶をトレースして仕上げたバタフライプリントといったメッセージ性の高い柄も登場。

これらの個性的な模様は、ウェアの中央や全面にあしらわれ強い存在感を持つ。しかし、落ち着いたカラーリングで全体をまとめ上げたり、複雑なレイヤードを重ね、縦に長いシルエットを作り出したりすることで、ミニマルな印象へと昇華させている。

今季はユニークなボトムスが多い。例えば、片方の前身を持ち出して巻きスカート風に仕上げたクロップドパンツや、後身にタックを配して広がりをもたせたワイドパンツなど。布地を多く使用することで、動くたびに肌との間に空気を含み、その揺れ動くシルエットが、コレクション全体に躍動感をもたらしている。アウターはノーカラーのチェスターコートやドロップドショルダーのオーバーサイズコート、またはライダースとスペンサーをミックスさせたジャケットなどがラインナップ。ユーモアあふれるボトムスとマッチさせ、洗練されたスタイリングが提案されていた。