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2014年度、ベルリン国際映画祭にて金熊賞(作品賞グランプリ)と銀熊賞(主演男優賞)の2冠に輝いた中国映画『薄氷の殺人』が、2015年1月10日(土)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国で順次公開される。
物 語は1999年、中国の華北地方で発生したバラバラ殺人の謎をめぐって展開していく。ひとりの男の切り刻まれた死体の断片が、6つの都市にまたがる15ヵ 所の石炭工場で次々と発見されるという、世にも奇怪な事件。この捜査は、私生活に問題を抱えた刑事ジャンが担当するが、容疑者の兄弟が逮捕時に抵抗して射 殺されたため、真相は闇の彼方に葬られてしまう。
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そして2004年、しがない警備員となったジャンは、5年前と似た手口のふたつの殺人事件を警察が追っていることを知り、独自の調査に乗り出す。被害者たちは殺される直前、いずれも若く美しいウーという未亡人と親密な仲だった。それは単なる偶然なのか、それともウーは男を破滅に導く悪女なのか。そしてジャンもまた、はからずもウーに心を奪われていく……。
本作は、一見オーソドックスなミステリー劇として進行しながらも、異形のスリルをみなぎらせていく。中国の地方都市を舞台に、雪に覆われた屋外スケート場などの風景を独特のカメラワークで捉え、大胆なリズムの編集を施した映像には、そこはかとない虚無感や緊張感が混在し、観る者の感性を刺激する。
また主人公ジャンと“宿命の女”ウーが織りなす、危ういまでに魅惑的なラブ・ストーリーからも目が離せない。生きる目的を失って自暴自棄となり、未解決事件の不気味な闇に囚われていく男。すべての被害者と関係を持ちながらも多くを語らず、はかなげな魔性の色気を漂わせる女。そんな決して惹かれ合ってはならない男女が行き着く果てには、いかなる衝撃的な運命が待ち受けているのか。中国の奇才が贈る映画は、必見だ。
【作品情報】
『薄氷の殺人』
公開日：2015年1月10日(土) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて順次公開。
監督：ディアオ・イーナン
出演：リャオ・ファン、グイ・ルンメイ
