西方寺は、広島県竹原市を象徴する観光スポットのひとつ。西方寺は、もともと田中町に在る禅寺で地蔵堂の隣にあり、現在地には禅寺の妙法寺があったが、1602年に火災で焼失したため、翌年、妙法寺跡のこの地へ移り、浄土宗に改宗した。

境内には、本堂、鐘楼、庫裡、法界地蔵堂、山門などの建築が建ち並ぶ。境内前面には、一見城郭を思わせるような石垣があり、寺観を呈している。入母屋造、一重、平入、本瓦葺、前面と側面前方を吹抜とし、側柱には太い敷桁を載せるだけの簡単な構造をしており、江戸中期のこの地方の仏堂の典型的形式をもつ貴重な建築。

普明閣は、西方寺本堂横の高台に位置する1758年の建築。西方寺の地に妙法寺があった頃の本尊である、木造十一面観音立像(県重要文化財)を祀っている。方三間宝形造、本瓦葺の二重屋根、舞台作りとなっており、京都の清水寺を模して建立された。町のどこからでも望むことができ、竹原市の景観の中心となる重要な建築。普明閣にのぼれば、竹原の町を一望することができる。