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「美男におわす」埼玉県立近代美術館で、江戸〜現代の絵画やマンガなどに見る“美少年・美青年”のイメージ

企画展「美男におわす」が、埼玉県立近代美術館にて、2021年9月23日(木・祝)から11月3日(水・祝)まで開催される。その後、2021年11月27日(土)から2022年1月24日(月)まで、島根県立石見美術館に巡回する。

日本の視覚文化における“美少年・美青年”のイメージをたどる

川井徳寛《共生関係〜自動幸福〜》 2008 鎌苅宏司氏蔵
川井徳寛《共生関係〜自動幸福〜》 2008 鎌苅宏司氏蔵
©Tokuhiro Kawai, Courtesy of Gallery Gyokuei

日本美術史において「美人画」と呼ばれることの多い女性像は、江戸時代の浮世絵や近代絵画で隆盛をきわめ、現在もなお人気を博している。一方で男性像に目を向けると、その時々の社会情勢や流行、男性観などを反映した作品が数多く描かれてきたものの、「美男画」といった言葉でくくられることはなかった。

企画展「美男におわす」では、人びとの理想が投影された多彩な男性像を、「美男画」として紹介。浮世絵や日本画、彫刻、マンガ、写真など、江戸時代から現代に至る日本の視覚文化に表されてきた美少年・美青年のイメージをたどり、男性を「美しいもの」として表現すること/見ることに光をあてる。

伝説の美少年

入江明日香《廣目天》2016 丸沼芸術の森
入江明日香《廣目天》2016 丸沼芸術の森

全5章から構成される本展の第一章では、“伝説”に描かれた美少年に着目。幼き日の聖徳太子や源平の貴公子など、生命力と無垢な精神をもつ少年は、神聖さや伝説的なエピソードと結びつけられた。そういった人物は理想化して描かれるばかりか、実際に容姿が優れていたという記録がなくとも「美男化」されることもあった。本章では、神秘性を秘めた稚児・童子像や、歴史的に美少年と謳われた人びとの肖像などを展示する。

青少年を“愛でる”まなざし

山本タカト《Nosferatu・罠》2018 個人蔵
山本タカト《Nosferatu・罠》2018 個人蔵

日本の文化史には、公家や中世寺院の僧侶に仕えた稚児のように、成人男性の身の回りの世話をする少年が現れる。年長の男性が若年の男性を愛でる文化は庶民のあいだにも広まり、その様子は近世絵画でも数多く取り上げられている。明治になると、西洋の写実的表現を学んだ美術家が青少年の若々しい肉体を描く一方、大正期には退廃的な男性像が登場した。第2章では、時に官能性と残酷さを帯びた“愛でる”対象としての青少年のイメージを取り上げ、金子國義や四谷シモン、山本タカトといった現代の耽美的な男性像へと連なる系譜を探る。

スター性を帯びた男性像

絵師不詳《大小の舞図》17世紀 板橋区立美術館[後期展示]
絵師不詳《大小の舞図》17世紀 板橋区立美術館[後期展示]

現代における俳優やアイドルの「推し」と似て、江戸時代の人びとを魅了したのが歌舞伎役者であった。17世紀後半には、男色の対象としての役者を単独で描いた、ある種の「美人画」といえる作品も現れ、役者絵へと連なることとなる。第三章では、若衆の舞踊図や役者絵など、スター性を帯びた男性像に焦点を合わせ、歌川国貞や東洲斎写楽らの作品を紹介する。

「強さ」と「美しさ」

高畠華宵《月下の小勇士》1929 弥生美術館[後期展示]
高畠華宵《月下の小勇士》1929 弥生美術館[後期展示]

「戦う男」は、男性美のイメージに付随する「強さ」がもっとも明瞭に表現されるテーマであるといえる。超人的な活躍をする「戦う男」が総じて「美男」に描かれることは、江戸時代から現代に至るまで共通している。第四章では、歌川国芳や月岡芳年ら幕末に登場した個性派の浮世絵師によるヒーロー像をはじめ、明治時代に描かれた歴史画、そして大正時代の高畠華宵らが手がけた耽美な武者像などを目にすることができる。

現代のアーティストによる男性美の表現

木村了子《男子楽園図屏風 ─ EAST & WEST》(右隻) 2011 作家蔵 撮影:宮島径
木村了子《男子楽園図屏風 ─ EAST & WEST》(右隻) 2011 作家蔵 撮影:宮島径

女性作家には、長らく「美男」を描く機会が与えられてこなかった。しかし戦後、少女漫画から魅力的な男性像が登場。漫画やアニメ、ゲームなどを文化的な土壌として育った作家たちは、1990年後半から「アート」の領域にサブカルチャーの要素を持ち込み、2000年代には美少年や美青年のイメージを主題にした作品も現れた。他方で男性作家も、自らの内面や周囲の日常、男性の身体そのものを見つめた作品も手がけるようになる。最終章では、木村了子や竹宮惠子、舟越桂など、現代のアーティストによる多彩な男性美の表現を紹介する。

展覧会概要

企画展「美男におわす」
会期:2021年9月23日(木・祝)~11月3日(水・祝) 会期中に一部作品の展示替えあり
[前期 9月23日(木・祝)~10月10日(日) / 後期 10月12日(火)~11月3日(水・祝)]
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
休館日:月曜日
開館時間:10:00~17:30(展示室への入場は17:00まで)
観覧料:一般 1,200円(960円)、大高生 960円(770円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生、障害者手帳などの提示者(付添者1名含む)は無料
※あわせてMOMASコレクション(1階展示室)も観覧可
※休館および会期変更の可能性あり(来館前に美術館ウェブサイトにて最新情報を確認のこと)

〈出品作家〉
・第一章 伝説の美少年
今村紫紅、入江明日香、狩野惟信(養川院)、菊池契月、高畠華宵、谷文晁、豊原国周、蕗谷虹児、松岡映丘、松本楓湖、松元道夫、安田靫彦、山岸涼子
・第二章 愛しい男
歌川国芳、懐月堂派、勝川春潮、金子國義、喜多川歌麿、鈴木春信、高畠華宵、菱川派、魔夜峰央、宮川一笑、宮川長春、三宅凰白、村山槐多、山本タカト、山本藤信、吉川観方、四谷シモン
・第三章 魅せる男
井上東籬、歌川国貞、歌川豊国(初代)、歌川豊国(二代)、歌川豊国(三代)、東洲斎写楽、鳥居清長、菱川師胤、山村耕花
・第四章 戦う男
猪飼嘯谷、伊藤彦造、歌川国芳、川合玉堂、車田正美(原作)/森下孝三・菊池一仁(シリーズディレクター)、高畠華宵、月岡芳年、乃希、松岡映丘、安田靫彦、山口晃、山口将吉郎
・第五章 わたしの「美男」、あなたの「美男」
ヨーガン・アクセルバル、市川真也、井原信次、海老原靖、金巻芳俊、川井徳寛、木村了子、竹宮惠子、唐仁原希、舟越桂、森栄喜、吉田芙希子、よしながふみ
※一部の作家は前期あるいは後期のみの出品
※出品作品は変更となる可能性あり

■巡回情報
島根県立石見美術館
会期:2021年11月27日(土)~2022年1月24日(月)
住所:島根県益田市有明町5-15 島根県芸術文化センター「グラントワ」内

【問い合わせ先】
埼玉県立近代美術館
TEL:048-824-0111

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