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愛を歌うCharaにインタビュー”恥ずかしいことをやるのがアーティスト”

シンガーソングライターのChara―ソウル・R&B・オルタナティブ・ロックなど様々なジャンルをミックスさせ独自のサウンドを作りだしているアーティストだ。デビューから25年という年月の中で、切ない歌詞をしたため、「やさしい気持ち」「タイムマシーン」「大切をきずくもの」と、90年代からヒット曲を飛ばし続けてきた。

独特の甘い歌声と優しい音色で、人々の心を掴んできた彼女。結婚、出産、育児とひとりの女性としてもステージを踏んだCharaは、いまどんな風に音楽と向き合っているのだろう。

Charaの音楽

インタビュー|写真3

・Charaさんの音楽は、どれも歌詞が優しいですよね。言葉の組み方って意識されてますか?

デビューの頃から「~かしら」とか「~なの」とかは好きでした。女性的な感じは10代のときから好みで。「~の」で終わるとガーリーじゃないですか?甘い系というか。それに「~の」っていう響きが単純に好きなんです。私の好みの女性像だったり、恋愛表現だったりを意識しているんですけど、なんとなく私は間が好きなのかもしれない。伝えたいから、話を聞いてほしいから、あんまり押しつけがましく責めたりしたくないんです。

昔はもっと歌詞に「?」が多かったけれど、大人になって減ってきました。最近出来上がった歌詞を見ると、そこまで問いかけないくてもよいかな、しつこいなとか思うようになって。

まだ完成じゃない私のガーリーは

・女の子らしさはずっと意識されているのでしょうか。

単純に女の子らしさが好きなんじゃないかな?私には妹が一人いて、妹はジーンズとかパンツばっかり履かされて、反対に私はスカートばっかり。だから、自然と女の子らしくするみたいなのがあった気がします。その反面、勇気があったり、思い切りがよかったり、そういうお姉ちゃんらしさは持っていたんですけどね。

でも、可愛らしさを素直にずっと表現できていたかっていうとそうじゃなくて。若い頃は、ピンク色を素直に好きと言えないような…そういうつもりじゃなくも、先輩とかに「ぶりっ子」って言われたりしました。それが嫌だから、だんだんスポーツ系っていうか、ハキハキした感じを意識してみたり、面白おかしいキャラになってみたり。そうやっていじめられないように、めんどくさい先輩を避けるために、くぐりぬけてきたんです。

ちょっと大人になってくると、私はフェミニンが好きって言えるようになって。さらに歳をとってくると、尚のこと周りにどう言われたって関係ないねって、好きなもんは好きだねってなってきました。おばあちゃんの歳になって、本当の意味での少女らしさっていうのを表現できたらいいなって思う。今はまだ完成じゃないんです、私のガーリーは。

※「Tremolo Sparks」の様子。
※「Tremolo Sparks」の様子。

・まだ完成じゃないんですね(笑)

ここからが本当のガーリー。おばあちゃんから孫へ伝えるガーリー観とか楽しそうだなって。もし男の子の孫が出来たら、女性にはこうするんだよとか、そういうのを言いたいです(笑)。

・今のCharaさんが考える少女らしさって何だと思いますか。

わかんないことを知りたいなって思う気持ち。無邪気になれるときはなれる。泣きたいこと、感動したいことを我慢しないで伝えられる。ありがとうって言いたい時は素直に言える。

ちょっと間違えると激しくなっちゃうボタンがあるけど、歳をとってから、だんだん自分に素直になってきて、こういう風に生きられた方が楽しいのかなって。20代前半だとインタビューも、こんな穏やかじゃなかった。初めて聞かれることとか多いし慣れていないから「わかんないです」って答えて。でも「何か言ってもらわないと困ります、記事にできないですし」って言われて。そんなやりとりしているうちに「だって今わかんないもん」って泣いてしまったりね。要するに、何分間で答えられないこともあるわけで、昔から一生懸命っていうのは変わってないんです。

Charaは19歳のとき初めてマイクを持ち、歌を歌った。それまでキーボードとして活躍していた彼女が、歌うようになったのは失恋がきっかけだという。

・歌い始めた頃のCharaさんはどんな生活をしていたんですか。

まあまあ昔の話ですね。当時、私はバンドでキーボードを弾いていて。でも、そのバンドでデビューとか嫌だなって、バンドはやりたいけど、なかなかいいメンバーが集まらなくて。ボーカリストがいなかったんです。ソニーの中の新人発掘部署の人にバンドが抱えられていたから、その担当の方に高校生の頃から「歌えばいいじゃん」って言われていたんですけど、「ちょっと無理です」って答えてました。私は歌いたくなくて、歌作りの方に回りたかったから。

けど19歳のときに生まれて初めて失恋して、それまで経験したことなかったからどうやって立ち直ればいいか分からなくて、髪を切っても何してもだめで、どうしたらいいんだってなってしまって。思い切ったことしないと自分やばいって雰囲気だったのは覚えてます。悔しさもありましたし。

そこから歌っちゃえばいいんだなって。歌ってみるって担当の方に言ったら、3曲のデモテープを作ってくれて。そこから月に1回くらいずつライブに出るようになって、何回か出たら事務所が決まったって感じでしたね。

・失恋から歌に繋がるのは素敵ですね。

ちょっとキラキラしたかったんだと思います。私何したらキラキラできるんだろうって探していたから。あとタイミングかな。自信がなかったから自信を持ちたくて歌ったんだろうな…。楽器代もスタジオ代もかかるから、ローラースケートのウエイトレスのバイトを朝までして。始発で帰って少し寝て家で宅録して…って当時は結構頑張ってたんですよね。

Chara オールタイムベストアルバム『Naked & Sweet』より
Chara オールタイムベストアルバム『Naked & Sweet』より

愛がまだわからないから歌っている

・その当時は、恋の切なさが歌の原動力でしたか。

それもありますけど、メロディ重視だったかな。洋楽が大好きで洋楽ばっかり聴いていたから、英語の響き、メロディを大切にしていました。小さい頃から外国のファミリーに憧れていて。外国に行ったことがなかったので、映像で見ると、ハグをしたりキスをしたり、なんて親密で楽し気なんだろう、愛っていうああいう雰囲気の中にあるのかな?って考えていたんですよね。

でも愛がよくわかんなくて、高校生くらいになると難しい本を読みながら愛について調べ始めたり。西洋では尊いものって言われているのに、仏教だと迷いを作る邪道なものって言われているぞ。宗教によっても言い方が違うぞって。昔は今みたくスマホがないんで、辞書とか書籍でぺらぺらしてね。

そうすると、教会音楽やゴスペルに興味が湧いて。「すごいな人間の声って、何なの魂って」って。埼玉のファクトリータウン・鋳物の街のガキなので、教会とか近くにないし、ゴスペルを歌ってる黒人とかもいない。でも歌うまい人って、調べるとみんな教会で歌ってたんじゃん、何なの何なのってなって、ゴスペルの訳詞とか読んだりしてるうちに、いっぱい入っている「愛」に興味を持って、そこから愛を伝えていきたいと思ったんです。

・愛を歌うっていう目標は初めから持ち続けていたのでしょうか。

愛を歌い続けるとかは最初からは思ってなかったな。伝えたいことがあるから歌うというか、そういう感覚で。人物や事柄をテーマに決めて深く調べて歌詞を書く人もいるけど、私は伝えたいことがあって、誰かに伝えたいって気持ち、感じたことを歌詞にしてるだけ。だって私も愛とはって一言で言えるほどわかんないしベイビーだと思う。まだまだ途中だから歌っていると思うんです。

※「Tremolo Sparks」の様子。
※「Tremolo Sparks」の様子。

・歌を通して伝えたいことは、母親になって変わりました?

変わりました。ママになる前は無償の愛を知らないから、伝えるということをそこまでわかんなかったんじゃないかな?わかりやすい例ですけど、海に行ったことがない人が海で泳ぐとこんな感じだよって言っても、実際泳いだ感じって違うじゃないですか?子供を持って、言葉にならないけどこれが無償の愛かって気付いたんですよね。使用前使用後みたいなもの、だって恋を知ったか知らないかでも、あの人綺麗になったわねって言われるほど、違うわけですから。

変わったなと思うのは、言葉使い。独身の頃は子供がこれを聞くとか全然意識していないから、ちょっとミステリーを残したいと思ってて。自分がわかりすぎなくていい、人と違う方がいいみたいな。ちょっと痛々しくてもかっこいい方がいいじゃんって思っていました。じゃないと個性がなくなるようで怖いし、それが武器だったので。

・怖いっていう感情はどこから生まれていましたか。

この仕事をしていると、知ったようなふりで色々書かれたりしちゃうから。曲を出してしまったらあなたのものだよって気持ちではいるんですけど、そこまでスターではないし、経験も浅いのに話をしてもなっていうのもありましたね。勝手に、これはこういう意味じゃないですかって言う人もいるわけで、もっと感覚的に聴いてもらえればいいのになって思っていました。

一つキーワードを置くとそれに向かって言葉が集まってくる

・当時から変わらず伝えたいと思っていることはありますか。

もともと勇気を伝えたくて。私はすごい歌が上手いわけではなくて、ただ音楽が好き。そういう中で歌を作っていると自分を信じる力って大切で。アーティストっていうのは、わからないことをよしとするというか、人と違くてよいみたいのを続けていかなきゃいけない。感覚とか自分の信じているものを自分くらい信じてあげなきゃいけないんじゃないの?って思うんです。

・歌を書くと、自分自身をさらけ出すことに繋がると思うのですが、辛くないですか?

辛いけど…やってたら慣れちゃうんです。初めて人にデモテープを聴かせたときは、裸を見られるような感覚で恥ずかしかったけれど、本当に最初だけ。それは人が何を言うか聞いたことないから、怖いだけなので。例えば、ご馳走を人に振る舞うとき、自分では結構上手だと思ってるけど、どうかな?って不安になるじゃないですか、それと同じ。そこで美味しいって言ってもらうと、信頼関係が生まれていく。

だから、歌を書くときは心を掘りますよ。心に埋まっているものは掘って集めて、出てきたものを見ているうちにだんだんそれが話し出すっていうか、一つキーワードを置くとそれに向かっていろんな言葉が集まってくる。そんなに、難しくないですよ。言葉にすることによってすごくいいこともある気がするから。一節でも私の歌の中に好きなところがあって、歌うといい気分になって欲しい。そういうのを求めて歌っているのかな。

恥ずかしいと思うことをやるのがアーティスト

・歌詞の中に、実体験は含まれていますか。

体験ももちろん入っています。感情を露わにしているのもあるし。それプラス実際の恋愛体験で言葉では言えなかったけど、心ではこんなことを言っていたんだよ、というのも入れています。ある種告白のようなもの。

・恥ずかしくないんですか?

恥ずかしいと思うことをやるのがアーティストだから。そう思っている私は、恥ずかしさを多く求めるところがあって、書き出してみて「これめっちゃ恥ずかしい」って感じたら、歌詞に入れちゃいます。

だって、誰でも言えることは他にやっている人がいるから。私はそうじゃないことをやるのが役割だって思っています。言われたら理解できるけど、意外と言わないよねって言葉。「いつだって盗まれる準備はできているわ」「私の正面からきて」とか、思ってはいるけど実際には言葉にできないじゃないですか。私の歌の中では、可愛らしい女の子の告白体験ができるから、みんなBGMにして歌っちゃえって思っているんです。

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