長野・軽井沢のセゾン現代美術館では、開館40周年記念展「Writings 触知の空間 石川九楊 大山エンリコイサム」の開催を予定していたが、無期延期となった。
開館40周年記念展「Writings 触知の空間 石川九楊 大山エンリコイサム」は、戦後の書を代表する書家・石川九楊と、ニューヨークを拠点に世界で活躍する美術家・大山エンリコイサムを紹介する展覧会だ。
石川九楊は、書の制作・研究と批評活動を展開しつつ、書の常識を乗り越えた独自の表現を手がけてきた。1980年代からは『徒然草』や『源氏物語』などの古典、その後は吉本隆明らの現代詩やドフトエフスキーの小説を取り上げた作品を手がけ、2001年の9.11以降は自作の散文を書として発表している。
一方、大山エンリコイサムは、エアロゾル塗料(スプレー)を使用した制作とグラフィティ文化の研究から生まれた「クイックターン・ストラクチャー」というモチーフを軸にした表現を展開。多彩なメディアで繰り広げられるその作品が注目を集めている。
本展で紹介する石川九楊と大山エンリコイサムの2人に共通するのは、“書く(描く)”という行為そのものが、直接作品化されている点にある。そうした実践においては、墨やエアロゾルといったメディウムと、紙などの支持体の間に生じる触覚的な感覚が重要な意味を持つのだ。
本展のキーワードは、ものに触れることを通してその存在を感知することを意味する「触知」。会場では、石川九楊の《9.11以後 1》や《東京オリンピック?まさか?》、そして大山エンリコイサムの《FFIGURATI #20》や《FFIGURATI #310》など、ジャンルも世代も異なる2人の作品から、手を介して“書く(描く)”という行為の意義を再考する。
開館40周年記念展「Writings 触知の空間 石川九楊 大山エンリコイサム」
※2021年5月1日(土)〜8月29日(日)の会期を予定していたが無期延期
会場:セゾン現代美術館
住所:⻑野県北佐久郡軽井沢町⻑倉芹が沢2140
【問い合わせ先】
セゾン現代美術館
TEL:0267-46-2020