2012年2月4日(土)~5月6日(日)の期間、「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」展が東京都現代美術館で開催される。本展では、数多くの虹のシリーズやパフォーマンスのドキュメントの他、触れて楽しむ体験型のインスタレーションや192色の虹色で描かれた30mにおよぶ新作、1987年にエッフェル塔にかけられた300mの虹の帯等を大規模に展示する。展示室いっぱいに広がる靉嘔のオプティミスティックな世界を味わえる。
左)靉嘔《レインボー・エンヴァイラメント No.7
レインボー・タクティル・ルーム+レインボー・エイムズ・ボックス》1969年
右)靉嘔「300m レインボー・エッフェル塔・プロジェクト」エッフェル塔(パリ)1987年
靉嘔は1950年代、瑛九が創立したデモクラート美術家協会に参加し、明るい色彩の油彩画で注目された。その後、1958年にはニューヨークに渡り、知覚によって認識される世界を具体的な物との対話によって改めて捉えようとした。そして、箱の穴に指を入れ鑑賞する《フィンガー・ボックス》や、周囲の環境を取り込んだインスタレーション等、絵画の枠にとどまらない人間の五感に訴える作品を生んだ。
彼は、ジャンルを超えたアーティスト達が交わり、パフォーマンスや印刷物の製作等を通し、今日のアートの多様性のあり方に一つの礎を築いたグループ「フルクサス」のメンバーとしてオノ・ヨーコやナム・ジュン・パイクらと共に活動したことも知られている。やがて、線で描く絵画を拒否し、引用したモチーフに赤から紫までの可視光線(スペクトル)を重ねる「虹」の作品が生まれ、ヴェニス・ビエンナーレ(1966年)での発表等を経て、「虹のアーティスト」として国内外で知られるようになった。現在でも靉嘔の虹との格闘は、版画、絵画、インスタレーションと様々な形式により続いている。
同時開催の「田中敦子 -アート・オブ・コネクティング 」(2月4日(土)~5月6日(日)の期間)も併せてチェック。靉嘔と田中はそれぞれ「フルクサス」と「具体」と異なるグループに属しながらも、パフォーマンスやインスタレーションを含めた多様な表現方法を展開した同時代の前衛アーティストだ。今回の展示は戦後日本の前衛芸術グループ・具体美術協会を代表する女性アーティストの東京で初めての大規模回顧展になる。
【展覧会概要】
靉嘔 ふたたび虹のかなたに
会場:東京都現代美術館 1F、B2F
会期:2012年2月4日(土)~5月6日(日)
休館日:月曜日(4月30日は開館)、5月1日(火)
開館時間:10:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
観覧料:一般1,100円(880円)、大学生・65歳以上850円(680円)、中高生550円(440円)、小学生以下無料。
※ ()内は20名様以上の団体料金
※本展チケットで「MOTコレクション」も観ることができる。展覧会カタログは3月中旬発売予定。靉嘔による書きおろしと過去の著作掲載(日英バイリンガル)。
「田中敦子-アート・オブ・コネクティング」とのセット券:
一般1,500円、学生・65歳以上1,200円、中高生700円
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、読売新聞社、 美術館連絡協議会
協賛:ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン、日本テレビ放送網
後援:アメリカ合衆国大使館
関連プログラム:3月下旬に靉嘔によるパフォーマンスのイベントを開催予定。
※詳細は決まり次第東京都現代美術館ホームページにて案内。
【問い合せ先】
東京都現代美術館
住所:〒135-0022 東京都江東区三好4-1-1
TEL:03-5245-4111
URL:www.mot-art-museum.jp
巡回予定:
新潟市美術館 2012年7月28日(土)〜10月8日(月)
広島市現代美術館 2012年11月3日(土)〜2013年1月14日(月)