あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。
監督:新城毅彦
祖母と2人で暮らす9歳のラミアは、学校のくじ引きで「大統領のケーキ係」に選ばれてしまう。フセイン大統領の誕生日に、お祝いのケーキを準備する役目だ。翌朝、ラミアは祖母に連れられ、父の形見の時計と“友達”の雄鶏ヒンディとともに町へ向かう。しかし、日々の食卓も満足に揃えられない祖母の目的は、ケーキではなくラミアを養子に出すことだった。逃げ出したラミアは、自分の手でケーキの材料を集めれば祖母との暮らしを続けられると信じ、クラスメイトのサイードと協力して町を駆け回る。十分なお金も時間もなく、あるのは知恵と想像力だけ。“名誉あるケーキ作り”の行方が描かれる。
1990年代、独裁政権下のイラクを舞台に、9歳の少女ラミアが“大統領のケーキ”作りを命じられ、材料を求めて町を駆け回る姿を描く。監督・脚本は、イラク出身のハサン・ハーディ。自身の体験をもとにした初長編で、戦争や食糧不足のただ中にある社会の空気と、子どもの視点から見える現実が重なる。イラクで撮影された湿地帯や市場の風景も印象を残し、出演者全員が演技未経験者という点も作品の質感につながっている。