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ブランドのオリジナリティとは?

ENGINEERED GARMENTS 2013秋冬コレクション
FWK BY ENGINEERED GARMENTS 2013秋冬コレクション
上) ENGINEERED GARMENTS 2013秋冬コレクションより
下) FWK BY ENGINEERED GARMENTS 2013秋冬コレクションより

振り返ってみて、エンジニアド ガーメンツが長い間続けられている理由は何だと思いますか?

自分では長い時間だとは思ってないのですが、同じことをやり続けているんです。変わらないようで変わっていること。これをオリジナリティっていうのでしょうか。自分たちが面白がっている製品を作っているつもりですが、エンジニアド ガーメンツの商品って、見た目だと分からないことも多い。いつも考えていることは、相反する2つのものを一緒にいれる洋服がおもしろいということ。昔からそう思っていたんです。

ベーシックでトラッドにとんでもないものを混ぜるのがかっこいい。アイビーやトラッドに対する反発もあって、変なものが好き。2つの両極端なものを一緒に着る。1つの服に混ぜるのがかっこいい。これは、ここ何十年同じなんです。色々な洋服のかっこよさの内の1つだと思います。自分はそういうのが好きだから、頑張って追求しています。

なるほど。ただ、その考えはエンジニアド ガーメンツだけにあてはまることではない気がします。他の何かがあるから世界に認められるのではないでしょうか。

僕自身は、洋服は完璧でなくていいと思っています。いい服とはなんだろうって問いかけると、いい生地で、いいカットで、いい縫製で、いいデザイン・・・こんな言葉が並ぶと思うけど、僕はそういうのは好きじゃない。自分が好きなのは、どんな下手でも、安い生地でもひどい縫製でも、変なデザインでも、1点でいいから1カ所、例えばポケットや袖口の処理がかっこいい、ってものが欲しいんです。それがあるだけで買ってしてしまうような。

分かりやすく例えると、10段階の評価項目がいくつかあるとして、全部が7点以上とかは平凡で興味がない。全部が2点とか3点というのはそれ以下でひどい。でも2点の項目がたくさんあるけれど、ただ1カ所だけ10点があるのがかっこいい。そういうのを作りたい。しっかり追求したいことがあれば、それだけで突出すると思います。

あまり具体的な話しではありませんが、ブランドには、それが存在する為の使命のようなものが必要なんだと思います。そのミッションがある限り、そのブランドなり商品はマーケットのなかで存在感を示せるような気がします。他と一緒に埋もれるのが良くない。ここだけは違うって、お客さんに思ってもらわないといけません。でも、お客さんに思わせようと思って考えすぎると、上手く行かないのが難しいところです。

世の中これだけ洋服があるから、意志がなければわざわざ作る必要はありません。でもそういう視点があると、必然性が出てきます。作ってないから、自分で作らざるを得ない、作りたい。作らないなら死んだほうがましだって思える。この仕事を自分がやらずにはいられないという気持ちがあればやっていける。そういう人が作るものには、淡々と仕事をしている人とは違うものが表れてくると思いますね。

【インタビュー】エンジニアド ガーメンツ デザイナー 鈴木大器 - 世界に通じるオリジナリティとは? | 写真

現在NYで制作しているのはアメリカ製へのこだわりからですか?

メイドインニューヨークでもメイド・イン・USAと呼ばれてもいいのですが、今ここで作っているのは、単純に自分たちの目の前で作れるからです。NYが好きで、この街に住んでいるから、ここでしか見えないことがあるから、ここで作るしかない。 NYに住んで中国で作ることは、自分の眼で見る事ができないからしません。色々な場所に住みましたが、NYに住むのが一番好きでした。長く住んでいると、ここ以外住めなくなりますね。

ネペンテス店舗イメージ
NYの店舗内

NYで制作してよかったことについてお聞かせください。

街が凝縮されていて、ダイナミックなところ。ほら、耳をすますと、ミシンの音が上から聞こえるでしょう?(インタビューは2階のオフィスで行われている)これは3階が工場だから。

僕らのオフィス、工場、お店は全てここにあります。NYのガーメントディストリクトは少なくなったけど、まだまだその機能が残っている。だから、2階にあるオフィスでデザインを考えて、徒歩5分の生地屋で生地を探して、3階の工場で作って、1階のお店で販売するといったコンパクトな世界がある。こんなことが可能な都市はそんなにないと思います。このダイナミックさが面白いですね。

NYで活躍するためには何が必要だと思いますか?

自分が活躍しているとは思っていません。どこまでやったら活躍しているというのか、その定義がわかりませんが、地味にしっかり活動している人はたくさんいます。きちんと仕事をしている人が偉い。それ以外の評価は運が良ければついてくる。評価の部分が目的だったら残念です。あんまり気にしてもしょうがないと自分では思っています。

NYで活躍するためには、”志”だけです。志だけあれば何でもできる。NYは面白い街で、それ以外の障害はどうにでもなる。世界中から人が集まっているから言語の障害もみんな持っている。だから面白いんです。

【インタビュー】エンジニアド ガーメンツ デザイナー 鈴木大器 - 世界に通じるオリジナリティとは? | 写真

たくさんのブランドを扱い、ご自身でブランドを立ち上げた経験をふまえて、ブランドが長い間生き残っていくために必要なことはなんでしょうか?

さっきと似た話しになりますが、僕の息子は絵がうまい。本人はグラフィックがやりたいと言っています。彼にいつも言っていることは、”絵がうまい人なんて何千万人いて、グラフィックをやっている人だって何十万人といる。でも絵がうまい人が成功するとは限らない。”

鈴木大器

周りのグラフィックデザイナーを見て見ると、どちらかというと絵が上手でなくても成功しています。

何が作品の良さを訴えているか。それは、その人しか持ち得ない、他の誰かかが逆立ちしても追いつけないオリジナリティがあるからではないでしょうか。だから、自分のそれを見つけないといけない。1つ誰にも負けない、例え1,000人かかってきても勝てる、どんなに技術が無くても勝負できる、その1つを確立すること。人と違うことだけするというのは、ある意味変人になることかもしれませんね。その点をよく理解して、こだわって、勉強していく。そういうことだと思います。洋服も同じではないでしょうか。

世の中には天賦の才を持っているデザイナーがいます。若くて有名ブランドのデザイナーに就任するような人ですね。そんな人は50年に1人とか。でも多くの人たちは凡人です。凡人が天才に太刀打ちするには努力が必要。それには経験がいるし、時間がかかると思います。30年くらいがんばらないと勝てない。

30年間やり続けられる人は、洋服が大好きな人でしょう。それ以外考えられないくらい、洋服が好きなのです。そこまで頑張れれば、凡人が天才に勝てるかもしれない。そんな風に思っています。

Interview and Text by Mikio Ikeda

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