海外での評価も高く、日本写真史にも残る名作を残してきた写真家、奈良原一高の写真展が東京・六本木のタカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムにて2012年3月30日(金)から2012年4月28日(土)まで開催される。本展では前期と後期でテーマを分け、それぞれ10数点ずつ展示する。前期の3月30日(金)から4月14日(土)の期間に「肖像」をテーマにした作品を展示し、後期の4月17日(火)から4月28日(土)の期間に「街」をテーマにした作品を展示。

奈良原は1956年に写真展「人間の土地」で鮮烈のデビューを果たしてから、独自の視点による作品世界を築き上げ、写真家としての国内外での評価を確固たるものにした。都市やそこに住む人々、修道院や刑務所など様々な場で繰り広げられる文明の側面「文明の光景」を、独自の巨視的な視点で撮影。いずれの作品も群を抜く構想力とスケールをもって入念に制作され、写真史上でもユニークな地点を切り開いた。

左上)奈良原一高「王国-沈黙の園」1958年/1977年 ゼラチンシルバープリント ©奈良原一高アーカイブズ

本展は「人間の土地」(1954-57)を始め、「王国」(1956-58)、「Tokyo, the '50s」(1954-58)、「ブルーヨコハマ」(1960)、「ヨーロッパ・静止した時間」(1963-65)、「ヴェネツィアの夜」(1964-85)、「消滅した時間」(1971-72)、「ブロードウェイ」(1973-74)の各シリーズによって構成されている。「肖像」と「街」という2つの大きなテーマを設ける事によって、そうした枠組みをも超えるような幅広い世界を備える作品世界を展示する。一つの型におさまることのない魅力を持つ奈良原一高の作品を堪能出来るだろう。

【アーティスト情報】
奈良原一高(ならはら・いっこう)
1931年福岡県生まれ。1946年に写真の撮影を始め、1954年に中央大学法学部を卒業後、早稲田大学大学院芸術(美術史)専攻修士課程に入学。1955年に池田満寿夫、靉嘔(あい・おう)ら新鋭画家のグループ「実在者」に参加し、池田龍雄や河原温といった芸術家や瀧口修造らとも交流を深める。同時に東松照明、細江英公らとも知り合い、1959年には彼らとともにセルフ・エージェンシー「VIVO」を設立(1961年解散)。以後も様々な領域と交流を持ちながら、制作を続ける。

【展覧会情報】
奈良原一高 Ikko Narahara
会期 : 2012年3月30日(金)～2012年4月28日(土)
会場：タカ・イシイギャラリー  フォトグラフィー/フィルム  (東京・六本木) 
住所 : 〒106-0032 東京都港区六本木6-6-9 2F
TEL : 03-6447-1035
時間 : 11:00～19:00
定休日 : 日・月・祝祭日
URL : http://www.takaishiigallery.com/